ダメな人を育てる方法

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ダメな人を育てる方法

以前から、不思議に思っていたことがあります。職場で、友人で、親族でもたまに見られる現象です。優しくてとても素敵な方なのに、なぜかパートナーやお子さんがどんどんダメになっていってしまう。最初は頼り甲斐がありそうに見えたのにどんどん無責任な感じになっていってしまう。そんなことを見かけることはありませんか?

 

優しくて親切で、私などはお会いするたびにいつも元気づけられるのにどうして身近な人がダメな感じになっていってしまうのか。観察してみると、そのような方にはある共通点が二つありました。一つ目は、優しくて親切なこと。二つ目は、優しくて親切すぎることです。どういうことだ?とお思いでしょう。私も不思議でした。

 

しかし、それ以外に原因が見当たらないのです。そして、それこそが大きな原因なのです。思うに、優しくて親切であるがゆえに相手にいつでも手を差し伸べてしまうということが原因として考えられるのではないかと思うのです。パートナーやお子さんが何か、例えば家事などををしようとするたびに「どうもありがとう!」と任せることをせずに「ごめんね、いいよいいよ、私がするから」などと家事などを引き受けてしまったり、何か困った様子をしていたら相手が何かを言い出す前からさりげなく助けてしまったりするのです。

 

一見、とても親切で素晴らしいことなのですが実はこのことが相手の自立を妨げ、自立したいという気持ちを奪っているのではないかと思うようになりました。親切心で行なっていることが、実は相手の自尊心を知らず知らず奪ってしまっているのです。「信頼して任せる」のは確かに難しいことです。特に家のことなどは、パートナーや子供に任せるくらいなら自分がしてしまった方が速くて正確で綺麗にできる、ということも多々あることでしょう。

 

しかし、いつでも代わってあげていると、相手は無意識のうちに「自分は任せられるほど頼り甲斐のある人間ではないんだ」という負のメッセージを受け取ってしまうのです。頼り甲斐のある人間でないと言外に言われることが続いたら、馬鹿らしくなって自立しようなどと思えなくなります。「相手のために」と思うのならば、実は信頼して任せてしまった方がずっといいのです。

 

それなのになぜ、過剰に親切にしてしまうのでしょうか。私は、その原因は自己肯定感の低さにあるのではないかと思います。人に親切にしてあげることで、なんとか自分への肯定感を保っている状態では相手が自立してしまったら、自分への肯定感をキープできなくなってしまう。そんな危機感から、わざわざ相手の自立を妨げるような行動に出てしまうのではないでしょうか。

 

でも、信頼して任せてみても案外自己肯定感は無くならないものです。もしかすると、自立してゆく相手を見て、「よかった」とすら思えるかもしれません。自分のためにも、相手のためにも、信頼して任せるようにすれば良いのです。そうすれば、相手も自分も成長できます。そんな風に思いつつもなかなか言い出せない私もまた信頼して任せることができないダメ人間なのでありました。